■Gibson ES-335

今回のご依頼は大きい打痕のタッチアップです。段差の解消ぐらいと思ってください。

大きい打痕に樹脂を盛って均してラッカーをさっと吹いて磨きます。

トップ板の打痕も直します。

タッチアップで傷は直りませんが凹みは埋まります。写真じゃわからないかもしれませんが・・・。

問題発生!タッチアップが終わり依頼者が取りに来られました。依頼は問題なく終わっています。
ネックの順ぞりが大きかったんです・・・ロッドがいっぱいな感じでした・・・そりは2mm近くあります・・・このまま返すのもなんとなくかわいそうで・・・「もうちょっとまわしてみます?」「お願いします。」「でも、逝っちゃうかもしれませんよ」・・・ボキッ。
平静を装い「もう少しお預かりですね・・・治しますよ・・・」
下の画像をご覧ください。ロッドがいっぱいだったんじゃなかったのです。錆びて固まっていたのです。ねじ山が錆びに埋もれて見えませんね。

こういうものを直す道具もあるものです。指板を剥いでロッドを入れなおす・・・なんてなったら大赤字で商売やめたくなります。残ったロッドのまわりを掘り込んでいきます。

十分掘り込んだら錆をこそぎ落とし専用のダイスでネジを切り直します。

そして写真を撮るのを忘れるわけです・・・大事なところなのに・・・集中しすぎると大体撮り忘れています・・・放心するんですね・・・。その後はネジをグリスアップ、5mm厚のスペーサーを入れて新しいナットを付けてロッドを締めます。すると、どうでしょう!2mmも隙間のあったネックがみるみるうちに真っ直ぐになって隙間がなくなります!直るものですね。今回の場合、逆に折れたことが幸いした気がします。でなければ、ロッドがいっぱいであきらめてそのまま使うしかなかったのですから。結局赤字仕事でしたがいい仕事ができたと思います。お客さんも喜んでいました。
トラスロッドがいっぱいというのは結構多い症状ですが案外原因は錆によるものも多いかもしれません。そういった場合は今回のやり方で直すことも可能なので心当たりのある方は検討してみてください。絶対に直るとはいえませんが。